高血圧と習慣

高血圧と習慣

高血圧と肥満

高血圧は、肥満解消で治ることがあります。肥満は、さまざまな病気の原因となります。高血圧もその1つであり、肥満によって血圧があがるのです。 肥満になると血圧が上がる理由は、大きな体のすみずみまで血液を循環させる必要があるため自ずと必要な圧も上がるからです。 メタボリックシンドロームという呼び名で話題となった症候群の基準にも「高血圧」の項目が入っています。 肥満で高血圧の患者は「糖尿病」や「高脂血症」のリスクも高い可能性があるので注意しましょう。

メタボリックシンドロームの基準は、腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上です。基準を満たしていると、内蔵脂肪が100立方センチメートルも蓄積していると推測されます。 メタボリックシンドロームは、一般の人にも概念が伝わりやすいように工夫された診断基準となっています。腹回りという家庭で測れる基準を採用し、 病院に行かずしても危険性に気づくチャンスを与えました。国民の健康意識の向上により、メタボリックシンドロームの先にある大きな障害を防ぐことで医療費の削減なども見込めると思います。

メタボリックシンドロームにひっかかれば、あらゆる疾患にかかる危険性が上がるといっても過言でありません。高血圧に関する治療は、メタボリックシンドロームであろうと方針は同じですが、 軽い高血圧では、食事療法・運動療法を行い、適正体重を維持することが最初の治療となります。メタボリックシンドロームの人にはより重点的に減量を勧め、 1ヶ月に1-2キロ程度の減量を長期間に渡って行い、適正体重へと変化させます。

塩分と高血圧

塩分のとり過ぎは高血圧の原因となります。塩分が血圧を上げるメカニズムはナトリウムが関係しています。 特に腎機能の低下した高齢者では、摂取したナトリウムが蓄積しやすい状態となっています。ナトリウムは水の吸収を促進し、循環血漿量を増加させて血圧を上昇させます。 さらに、血管壁の平滑筋細胞にナトリウムが働いて、血管が収縮して血圧を上昇させるという説もあります。

1日に必要な塩分は数gで、普段の食事でとっているより遥かに少ない量です。高血圧の患者では、1日4-6gに制限するのが好ましいとされています。 減塩食を続けるだけで、血圧が下がる方も多いようです。高血圧の予防としては、1日10g以下を目標にするとよいようです。日本食には塩分が多く、減塩を徹底するのは難しいです。 みそ汁や漬け物を好む食文化で、塩分制限をするためには他国の香辛料を用いるなどの工夫をして楽しんで食事療法を行うと良いでしょう。

濃い食事を続けていると、味覚が塩分に対して鈍感になっていることがあります。東北や沖縄に行って味が濃いと思うことがあるでしょう。しかし、現地の人はそれで普通なのです。 味覚には、慣れがあり、塩分に対する感じ方は食生活で変わってくることを示しています。それでは、自分の味覚はどの程度塩分に敏感なのでしょう。

だし汁1リットルに、しょうゆ大さじ1、塩小さじ1を加えましょう。これが丁度よいと感じれば、適切な感覚です。塩分の少ない食事になれているということです。 これが薄味と感じたら、塩分に対する感覚は鈍っています。ふだんから濃い味になれてしまっているということです。減塩をして、味覚を取り戻しましょう。

タバコと高血圧

タバコには有害な成分が多く含まれています。有害と分かっていても、なかなかやめられないのはニコチンによる中毒にかかっているのです。 ニコチンの摂取が少なくなると、脳からの欲求が強くなります。精神的な欲求が強いですが、禁煙の間に倦怠感や頭痛など、身体症状もでることがあります。 タバコの害についてよく知らずに、はじめてしまった人が大半でしょう。タバコには、ニコチン以外にもタール、一酸化炭素、シアン化水素等の有害成分が多く含まれます。 タバコが肺癌の原因となるのは有名ですが、多くの癌の発生率を高めます。認知症をはじめとする脳の障害もタバコが悪さをしていることがあります。

タバコと高血圧との関わりは密接です。というのも、タバコには血管を障害する作用があります。血管を硬く、弱くしてしまうのです。 それゆえ、高血圧の原因になるだけでなく、脳血管障害のリスクは喫煙者で高くなります。高血圧だけでなく、下肢の動脈が閉塞する病気も喫煙によって引き起されることがあり、 動脈に悪影響を及ぼしているのは明らかです。

受動喫煙でも、タバコの害がでることが分かっており、知らない間に家族の血管も脆弱にしてしまっている可能性があります。こどもの受動喫煙では、突然死が多くなる等のデータもでています。 このように、タバコは百害あって一利なしの有害なものであることを理解しましょう。そして、血管を健康に維持するために禁煙をしましょう。禁煙は、薬を用いてすることで比較的楽に行えます。 保険を使って、禁煙補助薬を買うことができるため医師に相談して禁煙に挑戦しましょう。

入浴と高血圧

入浴時は、体表の温度の変化で血圧も大幅に変動します。そのため、高血圧の人が心血管イベントをおこす機会となるタイミングとして慎重にならなければいけないときです。 入浴時、脱衣によって体が冷え、血管が収縮することで血圧は上がります。入浴中は、運動している時と同様、血圧の上昇が持続します。 脱衣での冷えは、心臓の負担にもなるため、浴室の空気を温めておくことが大切です。お湯の温度は、40度以上の高い温度だと血圧は上昇し入浴中下がることがありません。 一方、体温に近い温度では血圧上昇がゆっくりになり、変動が小さくなるといわれています。同じように温まるのであれば、熱いお湯に短時間よりも、 ぬるま湯にゆっくりと浸かった方が高血圧には安全なのです。熱いお湯に入るならば、徐々にお湯を足して急激な温度の上昇をさけるように工夫しましょう。

高血圧の背景には、血管の硬化があることを忘れずに過ごしましょう。高血圧の持続で血管にダメージが加えられていることも自覚しましょう。 血圧を大きく変動させる習慣はなるべくさけることが望ましいです。運動をするのであれば、かるい準備運動から開始し徐々に血圧上昇させるようにすること。 入浴では急激な温度変化をなくし、血圧の変動を最小限にすること。習慣となった行為をあらためることで、高血圧の進行を遅く出来る可能性があります。

お酒と高血圧

お酒はタバコと違って、良い作用と悪い作用を両方もっています。適量の酒は、睡眠の質を高め、リラックスできるとして肉体的にも精神的にも良い働きをします。 適量の酒は、善玉コレステロールを増加させ、血管壁を若返らせる効果があるともいわれています。しかし、アルコールの摂り過ぎは高血圧の原因となってしまうのです。

アルコールは血圧を一時的に下げることもありますが、長い間飲み続けると、高血圧症の原因になると考えられています。この機序ははっきり1つに絞られませんが、 電解質の排泄状態や、人にある血圧を規定する受容体の感受性の問題、血管壁の弾力性の問題など、さまざまな要因が重なり合って高血圧の原因となります。 多くの研究で、アルコール摂取が多いほど血圧の平均値が上がるとされています。

さらに問題なのが、また、アルコール飲料に含まれるカロリーにより体重が増えて肥満になることです。 肥満はそれだけで血圧を上昇させます。 心臓の負担も大きくなり、高血圧症による心不全を助長してしまいます。また、肥満は他の病気の要因ともなるので注意が必要です。高血圧と関連して問題なのは、つまみを食べることです。 つまみは、塩気の強いものが多くなります。また、油ものも好まれています。ワインのお供として好まれるチーズやサラミは塩分を多く含みます。 日本酒のお供として好まれるたこわさびや、刺身、揚げ物なども高血圧に悪い食事と言えます。このような高血圧に悪いつまみを食べることでアルコールそのものより高血圧に悪影響を及ぼします。

適量のアルコールは体に良いとも分かっているので、禁酒でなく節酒がすすめられます。飲酒の適量としては、エタノール換算で男性で20~30g、女性で10~20gといわれています。 ビールは中びん1本(500ml)、日本酒は1合(180ml)、ウイスキーはダブル1杯(60ml)、焼酎0.6合(110ml)に20gのエタノールが含まれていると計算出来ます。 1日の摂取量をこれ以下にとどめておくと健康に良いでしょう。もちろん、アルコール依存症となれば節酒よりも禁酒(断酒)をしないと病気はなおりません。

嗜好品(コーヒー、お茶)と高血圧

コーヒーやお茶に含まれているカフェインは、交感神経を優位に働かせることから血圧上昇に働くとされてきました。これらの飲料を眠気覚ましとして飲む方も多いでしょう。 また、栄養ドリンクにはたいていカフェインが含まれており、徹夜のために栄養ドリンクを用いる方もいるでしょう。カフェインは以下のような食品に多く含まれています。

緑茶 235ml: 30-50mg
紅茶 235ml: 47mg
コーヒー (インスタント) 235ml: 62mg
コーヒー (豆から抽出したもの) 235ml: 95mg
コカ・コーラ 350ml: 35mg

なぜ眠気覚ましに効果があるかというと、脳の中枢神経への興奮作用があるからです。カフェインには眠気ざましの効果以外にも以下のような働きがあります。

<覚醒効果>
カフェインには中枢神経系(脳や脊髄)を興奮させる効果があり、五感や精神機能を高め、運動機能を高めます。
<利尿作用>
カフェインには腎臓の血管を拡張する働きがあります。

<筋肉収縮効果(筋肉疲労に効果)>
カフェインは骨格筋を刺激し、運動能力の向上に効果があります。

<胃液の分泌を活発にし、消化を促進する>
カフェインは胃液の分泌を促します。

以上のような効果のあるカフェインですが、交感神経は血圧上昇に作用しますが、利尿作用は血圧降下に作用するなど複雑な要因が含まれています。 この複合作用の結果、コーヒーを常用している人では、コーヒーを飲んでも血圧はほとんどあがらないことが判明しています。 コーヒーやココアは、含まれるポリフェノールが血圧低下に役立っているともいえます。ポリフェノールはウーロン茶、そば茶も有効です。

どんなお茶も、飲み過ぎはよくありません。ただ、ポリフェノールを多く含み、血管を若がえらせることを心がけましょう。 健康食品としては、ゴマペプ茶は血圧の安定に効果抜群だというアミノ酸、ロイシン、バリン チロシンを配合したお茶です。 また、杜仲源茶は小林製薬がつくった特定保健用食品。ゲニポシド酸を含む杜仲葉を使用したお茶です。どちらも、血圧低下に有効な成分を含んだ飲料となっています。